公益財団法人MR認定センター

理事長 井廻 道夫

「医療の一翼を担うMR」

公益財団法人MR認定センター
理事長 井廻 道夫

 公益財団法人MR認定センター(以下「センター」)の前理事長 髙久史麿が2022年3月24日に逝去しました。
私は2022年6月16日の評議員会を経て、第51回理事会で理事長に選定されました。髙久史麿の遺志を引き継ぎ、
今後もMRの更なる資質向上に取り組み、医薬品の適正使用が図られることにより国民の保健衛生の向上に寄与してまいります。

 髙久史麿は生前、MRは医療従事者が医薬品の適正使用に必要不可欠な存在であると主張し続けていました。1992年の「21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会」に委員として参画して以降、一貫してMR認定制度を検討する委員会の委員としてMR認定制度の創設に深く携わりました。髙久史麿は、センターが創立された1997年12月に理事長に就任してから四半世紀にわたりMR認定制度を見守り続けましたが、時代とともにMRを取り巻く環境は大きく変化し、MR認定制度のあり方を見直す必要があるとして、2019年よりセンターの事業構造改革を指揮してきました。その一環として認定試験制度改革を検討している途上で逝去されたことは残念でなりません。

 私は、髙久史麿と同様、MRは医薬品の適正使用にはなくてはならない存在だと考えています。医療技術の進化は目覚ましく、中でも薬物療法においては革新的な新薬が続々と登場するとともに、安価で高品質の後発薬が浸透してきました。
医療は高度化、専門化、個別化が進み、患者さんにとって治療の選択肢が増えることにより、生命予後やQOLの向上に寄与しています。医療従事者は次々と登場する画期的な医薬品の使用方法を習得し、最新の医療技術として身につけたうえで臨床に適用する必要があります。そのためにも医薬品情報が医療従事者に適切に提供されなければなりません。また、患者へ投与した後も未知の副作用はないか、重篤な副作用はないか絶えずモニタリングし、企業は集積された結果を解析することで、添付文書が改訂されるなどしてより適正な使用方法を確立していかなければなりません。MRは医薬品情報の提供、収集、伝達活動を通じて医薬品の適正使用に資する重要な役割を担っており、医療従事者の医療技術の向上に寄与しています。

 2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の猛威により、予防ワクチンや治療薬に対して国民の多くが期待を寄せ、医薬品への関心が高まりました。製薬企業は日夜研究開発に取り組み、優れた医薬品を世に創出してくれますが、それら
医薬品が適正に使用されなければ患者さんの治療はもちろん、国民の保健衛生の向上に寄与することはできません。われわれは、今後ともMRの資質の向上に取り組み、MRが自信と誇り、使命感を持って働くことで、医療従事者から信頼されるパートナーとなれるよう努め、最終的に国民の保健衛生の向上に寄与してまいります。